街道に千の寿ぎ初吟行      向井 愉里

街道に千の寿ぎ初吟行      向井 愉里

『合評会から』(日経俳句会・番町喜楽会合同七福神吟行) 
   
水馬 千寿七福神ですから。この句が一番きちっとまとまっているかなと。
方円 千住と千寿で縁起が良さそう。初吟行の場として、ふさわしかったかも。
双歩 「千寿」を織り込んだ句の右代表として。
迷哲 地名表記は江戸時代から「千住」だが、「千寿」も祭礼などの吉祥名として使われてきたという。ちなみに近辺の学校名はみな「千寿」。初吟行らしい目出度さが伝わる。
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 日経俳句会と番町喜楽会合同の新年恒例初吟行は七福神参り。今年は七草に千住界隈を巡ることとなった。老老・句友十九人が千住駅前に集合、二万歩近い下町道中を繰り広げる。千住には江戸四宿の一つとしてのイメージ(ちょっと猥雑?)を句友一同が持っていたようだが、今や東京芸大をはじめ学園地区に変貌していたのにみな驚いていた。それでもあちこちに日光街道の面影を残し下町情緒も大いに味わえた。
 上記の句は措辞に千住の吉祥呼名「千寿」を持ち込んでいる。中七を「千の寿ぎ」としたところが七福神吟行らしく、新年のお祝い気分十分の句となった。実際、旧街道沿いは江戸時代を偲ぶ「よすが」となる紙屑問屋や問屋場跡、二百数十年続く骨接ぎ医院などがあり、一行に多くの句材を提供した。
(葉 2024.01.16.)

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