見はるかす六国峠石蕗の花 谷川 水馬
『この一句』
この句を読んで「六国峠」とはどこだろうと思った。グーグルマップで調べると「六国峠ハイキングコース」は出てくるものの、肝心の六国峠がどこかわからない。よくよく調べると、通称「鎌倉アルプス」と呼ばれるトレッキング・コースのマップに「天園(六国峠)」の文字が見える。なるほど天園なら行ったことがあると思った。
横浜金沢区や、朝比奈切通など、天園に至るルートはいくつかあるが、筆者が登ったのは建長寺の奥にある半僧坊から行く比較的手軽なコース。たしか天園で昼食をとった覚えがある。六国とは、相模・武蔵・伊豆・上総・下総・安房のこと。さえぎるものが多くて、とても六国が見えるようには思えなかったが、世が世であればそういう場所というところだろう。
この句の「見はるかす」は、「六国峠を見はるかす」ではなく、「六国峠から見はるかす」だろう。標高159メートルのこの地からは、鶴岡八幡宮、若宮大路、由比ヶ浜が眼下に見渡せ、天気の良い日は富士山も見えたはずである。相模湾の方向を遠望する視線と、足元の石蕗の花を見つめる視線の対照がこの句の魅力である。
(可 23.12.26.)
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