天神の絵馬かき鳴らす青嵐    中沢 豆乳

天神の絵馬かき鳴らす青嵐    中沢 豆乳

『合評会から』(日経俳句会)

愉里 動きがあって音があって、良いかなと思います。
青水 神社には新年とか年度末に結びつけられたたくさんの絵馬があります。様々な思いが込められた絵馬が夏の強い突風にあおられてカラカラ鳴っている。そこに何だかしみじみする風情を感じました。
而云 青嵐がどっと吹き、絵馬をかき鳴らす。
静舟 一陣の風、絵馬のカラカラと乾いた音が聞こえる!
ヲブラダ ドラマチックな風景が見えて、聞こえます。
戸無広 カラカラという乾いた音が耳に響いてきそうです。
          *       *       *
 学問の神様天神様の絵馬は受験シーズンの決まりもので、取り合わすにふさわしい風と言えば「木枯し」に始まって「春風」「春一番」といったところであろう。「青嵐の季節に天神絵馬は似合わない」という意見が出そうだ。しかし、最近は湯島も亀戸も「縁結び」の願掛絵馬や、よろずお願いの絵馬がいっぱい下がっている。というわけで、青嵐に絵馬がカタカタなっている情景に違和感がなくなった。事実、合評会では何の疑問も湧かず、「青嵐にからからと音立てる絵馬とは、爽やかな感じでいいねえ」と好評嘖嘖だった。
(水 23.07.30.)

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