祖父に似た移民三世サングラス 谷川 水馬
『合評会から』(酔吟会)
青水 南米に移民した人たちや、朝鮮半島の人たちのことなどを想起しました。そういう人の顔つきになつかしいものを感じることがあります。サングラスの季語によく合った句です。
双歩 情景がまったくわからず、二世ではなく三世とは何だろうなどと疑問もわきましたが、サングラスの句としてはとてもユニークなので採りました。
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1980年代の高度経済成長時代、その後のバブル経済期、その後の長い経済沈滞期──日本はこのほぼ半世紀、急成長の後の長期低迷という道をたどりつつ、今や世界の大国中上位10カ国に入るか入らないかあたりをふらふらする状況に低迷している。GDP(国内総生産)はじめ直近の統計では、お隣の韓国や東南アジアのいくつかの国に追い抜かれてしまっているが、「国力」という点ではまだまだのものがある。それがものを言って、諸外国からかなりの数の人を引き付け、貴重な労働力になっている。
作者は鹿児島県庁で働いた経験があり、昔の南米移民の孫である三世世代の“逆移民”に出くわしたという。彼らはがっしりした体躯で、四角く扁平な、昔の日本人の顔をしている。飽食ニッポンのほっそりとしたオヒナサマ顔の若者と全然違う。とても頼もしい。これがまたサングラスがよく似合うのだ。
(水 23.07.20.)
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