しばし待てらっきょう漬けてまだ十日 斉藤早苗

しばし待てらっきょう漬けてまだ十日 斉藤早苗

『合評会から』(日経俳句会合同句会)

三楽 私もらっきょうを塩漬けしていますが、確かに十日だとまだ早いです。二週間から一か月弱ぐらいがちょうどいいので共感いたしました。句としてはたいしたことはないですが(笑)。
春陽子 私食べる人、私漬ける人の会話。情景がよく出ていて楽しい句です。
沈流 まだ漬かっていないのは分かりつつ、カレー(?)を作ったのでつい開けたくなったのでしょうか。
光迷 何と気の早い人か、と。常備している酒の肴が切れたのかも。
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 司会者が「作者は長期休養明け、前回から復帰、久々の投句で四点も獲得しました」と紹介し、出席者から「よかった」の声が沸き起こった。パリパリの現役社員はどうしても仕事をたくさん背負い込んでしまうから、平日夕方からの句会には出にくい。欠席が続くと句作にも力が入らず、投句もしなくなる。そして、やがて自然退会、せっかく取り付いた俳句も二合目か三合目で引き返すという寂しい結末をたどる人がかなりいる。
 しかし、この人は根性があって、颯爽再登場。こういう若い人が活動してくれると俳句会は俄然イキが良くなる。嬉しくなった私は「ちょっと辛いけれど、十日でも塩らっきょうは美味しいよ。そういえば、この作者にもちょっとそんなところがあるなあ」などと余計なことを口走った。
(水 23.06.27.)

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