父に似た羅漢探せば青もみじ   中沢 豆乳

父に似た羅漢探せば青もみじ   中沢 豆乳

『合評会から』(日経俳句会)

三代 羅漢を見るとつい、似た人を探す。この人は最近、お父さんを亡くされたのかなあと思う。青もみじがとてもよく合っている。
方円 自分の父親に似た羅漢が居たらと、探したんでしょう。普通、秋とか冬とか、ややしんみりとした時期にくっつけるが、青もみじって新緑の季節をくっつけたのは、新鮮というか意外な発想というか。
迷哲 羅漢像に青もみじという光景がすごく絵になるなと思って頂きました。
早苗 一体一体、羅漢さまのお顔を覗き込む様子が浮かんで来ました。
枕流 この季節の愛宕念仏寺に行って見たくなりました。
雀九 青もみじを付ければ大体がよくなちゃうんですよ(笑い)。えらく良い俳句に見える。
          *       *       *
 雀九さんが喝破したように、この句の眼目は「青もみじ」にある。句会では、一様に青もみじが良く効いてると、たくさんの人から支持を集めた。ところが、季語に詳しい水牛さんから早速、「青楓」とか「若楓」はあるが、「青もみじ」という季語はありません、との指摘があった。筆者も採ったが、深く考えずに「青もみじ=若楓」と勝手に解釈してしまった。「青もみじ」は作者も言っていたが、旅行業界が好んで使っている流行の用語のようだ。ネットには「京都の青もみじスポット10選」などの惹句が目白押しだ。
 そういう意味でこの句は、無季だが季感のある佳句といえるだろう。
(双 23.05.26.)

この記事へのコメント

  • 酒呑堂

    「モミヂ」という言葉は元々は「モミヅ」という、木々の葉が紅や黃に色づくことを言う動詞が名詞化したものですから「紅葉」あるいは「黄葉」のことなのです。ですから「あおもみじ」と言うと「青い紅葉」という変な言葉になってしまうわけです。ただ紅葉する木の代表はカエデ(楓)であり、いつの間にか楓のことを「モミジ」と言うようになってきたこともあり、こうした「青もみじ」というような言葉が通用するようになったのでしょう。
    2023年05月26日 20:09