連句詠む座敷に青い梅の風    杉山 三薬

連句詠む座敷に青い梅の風    杉山 三薬

『合評会から』(府中くらやみ祭吟行)

青水 吟行句らしい一句。うんうん唸って句が出来て、次の人へ送った時に吹いてきた緑のそよ風の気持の良さ。
水馬 庭に青梅がたくさん生っていて気持のいい風が入ってきました。
迷哲 旧田中家の中庭にあった梅の木と、連句の座を通り抜けた薫風を巧みに組み合わせた。
三代 これも青梅の季語になるのかなと少しひっかかったのですが、あの座敷を吹き抜けていったすがすがしい風を表現する言葉としてぴったり。座敷の前には青梅をつけた木がありました。
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 暗闇に大太鼓を打ち鳴らし、8基の神輿が次々に渡御する府中・大國魂神社の奇祭「くらやみ祭」。5月5日、句友9人連れ立って見物に出掛けた。昼間は多摩川に近い森の公園を散策、そこには明治天皇が府中行幸の折に行在所となった富商の蔵屋敷が移設されており、その表座敷を借りて「しりとり連句」というオアソビ連句を巻いた。前庭には青葉隠れに実をびっしりつけた梅の木。そこを吹き抜けて来る風が爽やかで、実に気持良い。
 いつもはひねくった句を詠む作者だが、この吟行の幹事だけにいとも大人しく、品良くおさめたのが功を奏し、見事一等賞を射止めた。「青い梅の風」という一見たどたどしい言い回しが却って良い味を出している。
(水 23.5.24.)

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