若葉風スケートボードで塾通ひ 前島 幻水
『合評会から』(番町喜楽会)
迷哲 現代的な光景ですね。幼い子がスケートボードで走る。若葉風とぴったり合っています。
而云 かなり年上の子が乗ってるのかなぁ。それが塾通いとは……。うまくできています。
水牛 「若葉風」に乗ってスケートボード。元気がよくて気分がいい。子供たちのスケートボード熱はすごいよね。ウチの前でもよく滑っていて時々、「危ない!」と怒鳴ったりしています。
光迷 塾に行く時に今はリュックだからスケボーに乗れるんですね。時代を切り取った句です。
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スケートボードは若者に人気のスポーツ。以前は路上にたむろする素行の良くない少年らの遊びと見られていた。ところが2020年の東京五輪の種目に追加され、当時13歳の西矢椛選手をはじめ男女5人が金3,銀1,銅1とメダルを量産、日本中の注目を集めた。専用の競技場を整備する自治体も出てくるなど、すそ野を広げつつある。
作者の解説によれば自宅の前に公文塾があり、子供たちがスケボーでたくさん通ってくるという。今やスケボーが日常の足となっている訳だ。若葉風の季語を取合せたことで、句に元気さと疾走感が生まれている。変化の激しい時代をたくましく生きる子供たち。塾通いという関門にチャレンジする姿を描いた句から、「頑張れよ」という作者の声が聞こえてきそうである。
(迷 23.05.23.)
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