大欅囲む手と手の暖かさ     杉山 三薬

大欅囲む手と手の暖かさ     杉山 三薬

『この一句』

 府中郷土の森へ福寿草を見に行こうと作者自身が声を掛け、「建国記念の日」に総勢十三名で吟行をした時の句である。前日は関東の広い地域で雪が降り心配されたが、この日は見事な快晴でいかにも春到来という上天気。
 郷土の森の中にも欅並木はあるが、この句が詠まれたのは、帰路に大国魂神社に立ち寄った時のもの。神社の由来には、この神社は武蔵国の「総社」とある。武蔵国一宮と言えば、大宮の氷川神社。「総社」と「一宮」はどう違うの、などと余計なことを考えてしまう。こちらのご祭神の大国魂大神は、素戔嗚尊の御子とあるから、出雲系の神様で、大国主命のことだろう。奈良の大和(おおやまと)神社のご祭神も大国魂大神だが、あちらは大和系の大地主(おおことぬし)大神で、同じ名前ながら出自が異なりややこしい。
 この句に詠まれた大欅は、駐車場の脇にあるもので、注連縄が張られた境内の御神木とは異なり、近くに寄って触れる木である。幹の周りが七メートル以上あるいうこの木を、誰が言い出したか、平均年齢八十歳に近い面々が、手と手を繋いで囲んだところを詠んだのがこの句。「手と手」であれば、ふつうは「温み」と詠むところを、吟行幹事である作者は、春の良き日への感謝を込めて「暖かさ」と詠んだのだろう。その時に名カメラマンが撮影した連衆の笑顔をここに掲載出来ないのが残念である。
(可 23.02.24.)

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