物ぐさの虫起きたるや掘炬燵   徳永 木葉

物ぐさの虫起きたるや掘炬燵   徳永 木葉

『合評会から』(日経俳句会)

春陽子 「物ぐさの虫」、新種の発見に一点入れました。
健史 諧謔の味、最高です。
操 掘炬燵の柔らかい温もりは懐かしさも加わり、物ぐさは誰にも。
光迷 自嘲の一句ですかね。それとも連れ合いへの皮肉? いずれにせよ、掘炬燵が何とも羨ましい。
木葉(作者) 建売の自宅に備え付けの掘炬燵があります。当初は物珍しさに喜んで使っていましたが、今は見向きもしませんね。
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 暖房の在り方が大きく変わって来た。かつては火鉢や炬燵だったのが、ストーブや暖炉になり、パネルヒーターやエアコンに。最近は床暖房が重宝されている。熱源も炭や薪、石炭が灯油に、さらにガスや電気へという具合である。作者が住宅を購入したのはいつのことだろうか。30年以上前のことなのだろうか。
 暖房システム談義はともかく「物ぐさの虫」というのは面白い。暖かい炬燵から出るのが嫌になった覚えは誰しも持っているだろう。だが、連れ合いに叱咤されてか、留守番をしているところに宅配便が到着したか、炬燵を離れざるを得なくなった。「あーぁ」という気持ちが伝わって来る。
(光 23.1.15.)

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