猫の手の温かき日や十一月 澤井 二堂
『合評会から』(番町喜楽会)
てる夫 猫好きの人の句かと、その人を思い浮かべて忖度していただきました(笑)。でもその人が採っているので、ちょっと的外れでした。ほのぼのとしていい句です。
青水 悩み悩みいただきました。「十一月」という季語は難しい。この人は、その難しさに正面から立ち向かっている感じがします。「手の温もり」に着眼したのはいいのですが、俳句としてはちょっと生煮え感があります。もう少し推敲すると素晴らしい句になると思います。私にはできませんけれど(笑)。
水馬 外気が寒くなってきて気が付く猫の手の温かさ。リアリティを感じました。
司会 この句は本日欠席の二堂さんです。
誰か あれ、二堂さんは猫を飼っていたかなあ? いや、二堂さんの住まい(谷中)の付近には猫がいっぱいいるんだ……。寄って来るのかな。
* * *
小春日和ののんびりとした雰囲気が伝わって来ていい句だ。元々は猫嫌いだったのだが、迷い込んできた子猫をしょうがなくて飼ってから猫好きになってしまった私は、思わずこの句を採った。猫の手は、少し冷たくてざらざらしている。普通はあまり触ったりしない。それをこの人はふと触った。そうしたら意外に温かい。十一月のちょっと寒さを感じる季節に、「猫の手の温かき」を持ってきたのがいいなあと思う。
(水 22.11.20.)
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