虹淡く早く早くと妻を呼ぶ 旙山 芳之
『合評会から』(日経俳句会)
双歩 似たような句が他にも二、三ありましたね、虹を見つけると誰かに知らせたくなるんですね。
朗 「早く早く」の繰り返しがいいですね。淡い虹がすぐに消えてしまうから呼んでいる。仲いいご夫婦だなと思って。私は虹ではなかったですけど、満月の時に妻に早く早くって言ったら、今忙しいって言われて、なんだせっかく呼んだのに、っていう結果だった(笑)。
水兎 情景がすごく良く浮かんできて。そうですよね、誰かと一緒に見たいですよ虹って、と思いました。
三代 今にも消えてしまいそうな虹。妻に見せたくて懸命に呼んでいる微笑ましさが伝わります。「虹だわ虹ベランダの妻はしゃぐ声」の句も良かったのですが、この句は上五の字余りがちょっと気になって・・これは「虹よ虹」でも良かったかな。
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双歩さんや水兎さんが言うように、虹は誰かに教えたくなるものだ。田園地帯であろうが町中であろうが、虹の出現頻度に差異は無いと思うのだが、なんとなくビルの建て込む大都会では虹が少ないように感じる。
作者は久しぶりに虹を見つけて嬉しくなったのだろう、伴侶にも見せてやりたいと大声で呼んだ。それなのに、中々来ない。淡く頼りない虹は今にも消えそうだ。気が気じゃない。
(水 22.07.19.)
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