四葩咲く白山神社万華鏡    山口 斗詩子

四葩咲く白山神社万華鏡    山口 斗詩子

『この一句』

 「白山神社の紫陽花は三千株を超える。色と形を違えながら咲き誇る様はまさに万華鏡。出店にフラダンス大会、見物の人波もまた万華鏡のようでした」(迷哲)という句評が寄せられていたが、まさに白山神社の「あじさい祭」はこの通りであった。同じ吟行句会に「紫陽花も疲れ顔なる人出かな」(岩田三代)という句もあり、「まだコロナ禍は続いていますよ」という医師会の注意など馬耳東風である。
 この句の作者は一昨年来のコロナ籠もりがクセになっていたようだ。かてて加えて昨年秋だったかに足腰を傷め、以来、すっかり出不精になってしまったという。それがコロナ禍も沈静化し、政府の警戒令も解除され、自身の体調も回復したので、「思い切って参加しました」と、久方ぶりに元気な笑顔をみせて俳句仲間を喜ばせた。
 白山神社の雑踏をくぐり抜け、八百屋お七の墓のある圓乗寺へ下り、また坂を上って小石川植物園に至り、園内を隈なく吟遊なさった。
 恐らく久しぶりの本格的散策だったろう。見るもの聞くもの、何でもが楽しく、煌めいて、文字通りカレイドスコープを覗いた気分であっただろう。
(水 22.07.04.)

この記事へのコメント