拭き掃除何だか嬉し梅雨晴れ間  池村実千代

拭き掃除何だか嬉し梅雨晴れ間  池村実千代

『合評会から』(日経俳句会合同句会)

反平 もうこれ読んだだけで、僕もなんだか嬉しくなっちゃった。梅雨晴れ間って、ほんとにいいもんでね。
てる夫 気持ちがよく分かりました。
芳之 本当にこの嬉しさに共感します。
三薬 「何だか嬉し梅雨晴れ間」の上五に何をくっつけたって、句になりそう。まあ、みんなが喜んでいるのでいいかと。
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 上五に何の季語を置いても成立するので有名な句に、八代目入船亭扇橋作と言われる「梅が香や根岸の里の侘住居」がある。確かに「朝顔や」でも「時雨るるや」でも何でも合いそうだ。そんな先例もあって、三薬さんの感想に頷けなくもないが、作者が判明すると「拭き掃除」は動かない気がする。何といっても、読後感が爽やかだ。
 作者は主婦。いつもやっている拭き掃除だが、梅雨の晴れ間はことのほか捗る。気分も乗って、鼻歌のひとつも出るというもの。「梅雨の晴れ間に一番似合う家事は、やっぱり拭き掃除よ」――、腕まくりをしながら、そう独白する作者が浮かぶようだ。
(双 22.06.30.)

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