鰹節削る楽しさ冷奴       徳永 木葉

鰹節削る楽しさ冷奴       徳永 木葉

『合評会から』(日経俳句会合同句会)

水兎 鰹節削りなんて、ほとんど見なくなった情景だなと思うんですけれど、やっぱり子供の頃を思い出しながら採りました。楽しいですよね。固い鰹節は削っても削っても減らないなっていう感じが面白くて。
水牛 あれで削った鰹節は袋詰の削り節と全然違うね。ほんとに美味しい。
ヲブラダ わざわざ鰹節を削るとはこだわりですね。なぜか豆腐がよく冷えていることが分かります。
森太郎 これにビールがあれば言うことなし。
操  子供の頃、鰹節を削る手伝いをしたことが蘇る。鰹節の風味が冷奴に一段と美味しさを呼ぶ。
三代 冷奴をあてにビールでしょうか。そんなワクワク感が伝わってきます。
          *       *       *
 我が意を得たりという句で嬉しくなった。シュッシュッと削ると、何とも言えない旨そうな香りが立ち上がって来る。冷奴もそうだが湯豆腐のときもそうだ。長年使っていた削り器の刃が摩滅してしまったので、デパートに行ってみたら一台だけあった。しかし二万円と言われて、さすがにちょっと手が出なくて、古いのをだましだまし使おうということにした。というより、近頃は、年取ったせいだろう、根気が失せて、こうした手間のかかる仕事をやらなくなった。ついつい、市販のパック詰めの削り節ですますことが多くなっている。我ながら情けない。
(水 22.06.28.)

この記事へのコメント