ビニール傘べりべり開く走り梅雨 嵐田 双歩
『合評会から』(日経俳句会)
迷哲 梅雨にビニール傘はよくある光景だ。あるある俳句の一つだが、句に味がある。
鷹洋 べりべりの音が良い。雨が降り出すとあちこちでべりべりやっている。
三薬 俳句大家の中にはオノマトペを歓迎しない向きもおられるが、このべりべりは良い。
光迷 ビニール傘はくっついてなかなか開けず、イライラすることがあります。「ベリベリ開く」の表現に共感しました。
阿猿 今回最初に採った句です。「べりべり」がいい。鬱陶しい季節をユーモアで迎え撃つ姿勢に共感します。
ヲブラダ あるあるなのに着眼がすごい!
定利 べりべりが面白い。
而云 私は、べりべりが気に食わなかったので採らなかった。悪くはないんですが、表現が美しくない。
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一旦使って濡れたビニール傘は、しまっておくと張り付いてしまう。作者も「一度雨に濡れてしまうとくっついてしまう。そのべりべり感を詠みたくて」と述べていた。オノマトペの乱用は好ましくないが、この「べりべり開く」の中七はしばらく使っていなかったビニール傘の感じをとてもよくつかんでいる。しばらく晴天が続いての一雨、「いよいよ梅雨」という「走り梅雨」の季語もよく効いている。
(水 22.06.21.)
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