飛魚さばく小さき出刃や島の店  星川 水兎

飛魚さばく小さき出刃や島の店  星川 水兎

『合評会から』(日経俳句会)

双歩 あごは小さい出刃でさばきます。よく特徴をとらえていて素晴らしい。どこでこの光景を見たのか。詳細をぜひとも作者に聞いてみたい。
三代 小さい出刃包丁とはと、ネットで調べたらありました。臨場感がよく出ているなと。
朗 島の魚屋の大将の太い指まで見えてくるようだ。小さい出刃が良い。
三薬 皆さんの指摘と一緒です。
而云 出刃は何十年も使っているとちびてくる。島の魚屋ならなおの事そうだ。
迷哲 臨場感がある。島で目撃した光景なんでしょうね。説得力がある。
百子 飛び魚は三角形でさばきにくい魚なので、小さい出刃が必要です。
水馬 飛魚は日持ちしないので、現地でないと味わえません。舞台設定が良い。
てる夫 近所の魚屋の親父が刺身包丁でさばいてくれたのを思い出しました。
          *       *       *
 20年ほど前、俳句仲間と神津島へ行って、鯵を二百匹も釣って、民宿のおばさんに小さな出刃を借りてさばいて干したのを思い出した。この「小さき出刃」というのに実体感がある。「いいな」と感心して採った。そうしたら何たること、「はい。私です。見て来たようなウソをついてしまいました!すみませーん!」と名乗りを上げて、参加者一同爆笑。みごと一杯食わされたのだが、まんざら嘘の句ではあるまい。どこかで似た情景を見たか、やったかしているに違いない。
(水 22.06.17.)

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