ストローをのぼる空色夏来る  玉田 春陽子

ストローをのぼる空色夏来る  玉田 春陽子

『この一句』

 5月の「酔吟会」で一席に選ばれた一句。「飲み物がストローをのぼって行って空に広がる視線の移動がいいですね」(迷哲)、「ソーダ水などとストレートに詠むと平凡な句になるところを、『のぼる空色』とは実にうまく詠んだものです」(水牛)などなど。句会では、その叙述の妙に感心しきりだった。作者は読者の関心を引くフレーズを巧みに操り、高点句を連発している実力者。掲句も一読するや、情景がまざまざと浮かぶ素晴らしい作品だ。
 ところで、不特定多数からの郵便投句を集めての句会などは別として、普通の句会は、参会者の投句、清記、選句、披講、講評という流れで行われる。具体的には、会場で短冊をもらい短冊の数だけ自句(無記名)を書いて裏返しに出句する。集まった短冊をシャッフルして参加者に配り直す。配られた短冊の句を清記用紙に書き写す(筆跡などによる作者判明を防ぐため)。清記用紙に通し番号を入れ右隣へ回し、回ってきた清記用紙の句から選句し、自分の選句用紙に写す。
 その後、一般的な句会では披講係が選句結果を読み上げ、指導者の講評を受けるケースが多いようだが、全くの互選である日経俳句会の場合は、各人が披講し、得点の多い句から順に合評している。しかし最近は、参加者が増えて月例会では事前投句で前段を省き、披講、合評会のみの句会になってしまった。
 ところが、唯一「酔吟会」のみは本来の句会形式を忠実に踏襲している。どんな句に出会えるのか、会場に行くまでわからないワクワク感があり、とても楽しい句会だ。この日の酔吟会では、なんといっても掲句に出会えたことが最高の収穫だった。
(双 22.06.12.)

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