春の宵背伸びして飲むストレート  中村迷哲

春の宵背伸びして飲むストレート  中村迷哲

『合評会から』(番町喜楽会)

青水 「春の宵」、「背伸び」、「ストレート」の取合せが、艶めかしさと、初々しさを感じさせます。ひと昔前のことでしょうが、新入社員の女性がほだされて飲まされたのでしょうか。それをやった本人の句でしょう。
水牛 私の新入社員のころの姿を見られていたのかと思いました。焼酎に色をつけただけの〝シルバーウルフ〟なんていう、いかにも悪酔いしそうな酒を粋がって飲んでいたのを思い出します(笑)。
満智 新入社員が先輩にしぶいホテルのバーにでも連れて行ってもらったところを想像しました。初々しさが伝わります。
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 実にうまいこと詠むものだなあと感心した。ことに「背伸びして飲むストレート」とは、何気なく詠んだように見えるが、なかなかこうは詠めない。「春の宵」だから当然、社会人として第一歩を踏み出した新入社員に違いない。先輩に連れられて行ったバーのカウンターの情景を切り取ったものであろう。あるいは、新入社員数人が気負い込んで酒場に繰り込んだところと取ってもいい。
 先輩の前だとしたら、まさに「背伸び」して大人ぶって、むせそうになるのをこらえてウイスキーを飲み下したのだ。同期の仲間なら、物慣れた格好をつけている。どちらにせよ思い出し笑いがこみ上げて来る。
(水 22.05.08.)

この記事へのコメント

  • 迷哲

    ご推察の通り、社会人になって先輩に連れて行かれた中洲のバーでの思い出です。学生時代はジンライムなどを飲み、ウイスキーもハイボール全盛期でした。そんな時に先輩の真似をしてスコッチのストレートを飲み、社会人の仲間入りをした気分になったものです。
    2022年05月08日 16:11