寒晴やホットレモンの香の尖り  高井 百子

寒晴やホットレモンの香の尖り  高井 百子

『合評会から』(番町喜楽会)

光迷 寒さが厳しい時、レモンを絞って蜂蜜を入れ、熱くして飲むと本当にほっとします。
而云 あのレモンのつんとした香りを「香の尖り」と表現したことに感心しました。
迷哲 寒いからこそ飲み物の暖かさが嬉しい。漂うレモンの香りを「尖り」と表現したのは上手いですね。
水牛 僕は逆に「尖り」はどうだろうかと思いました。人工香料のような感じがして。
          *       *       *
 コロナウイルス感染防止の手立ては「三密」回避。しかし、家に籠ってばかりはいられない。コロナ太りも気になる。という次第で、人出の少ない場所を選んで散歩をする向きが増えている。それが寒晴れの日であれば、とっても気持ちいいだろう。そして帰宅し、ホットレモンで冷えた体を…と読んだ。
 ところが、下五の、香の「尖り」に疑問の声が上がった。成程と思える節もある。レモンの香りが尖っている、フリッシュで爽快なのは絞っている時で、ホットレモンになってしまうと…、だからだ。では、どうするか。「香り立つ」「香の高し」あるいは「香の優し」「香に和む」。適切な言葉を考えて欲しい。(光 22.02.09.)

この記事へのコメント

  • 迷哲

    寒晴で乾燥した冷気の中で飲んだホットレモン。いつもよりレモンの香りを強く感じて、それを「尖り」と表現した。寒さと温かさの対比が際立ち、違和感はありませんでした。
    2022年02月09日 17:08
  • 今泉而云

    「香の尖り」が寒晴という句の状況に合っている、そのように感じ取った作者の感覚は素晴らしい、と私は思った。しかし「絶対にこれだ」と決めつけたくない。俳句の世界は広く、作品の解釈、受け取り方は人さまざまである。(恂)
    2022年02月10日 06:43
  • 百子

    ありがとうございます。「尖り」という表現は、はやり「寒晴」という季語を意識しました。百子が住む上田・塩田平の「冷え」は日中でも2度か3度まで上げればラッキーなのです。いただきものの自家栽培のレモンは、とりわけ酸味が強く「寒晴」のツーンとした空気の尖りを感じたのです。
    2022年02月12日 09:43