肉厚の屋台のコップ燗熱し  中村 迷哲

肉厚の屋台のコップ燗熱し  中村 迷哲

『合評会から』(番町喜楽会)

水牛 よくこれを見つけてきたなぁと感心しました。確かに屋台のコップは分厚く、落としても割れないくらい頑丈です。六、七勺しか入らないのに、一合だと言って売ってる(笑)。熱燗のぬくもりが伝わってきます。
可升 あの分厚さは何でしょうね。割れないためにか、手に持った時、熱すぎないようにか。いずれにせよ、肉厚のコップの手触わりが感じられる句です。
命水 居酒屋でもこういうコップで出ますね。もっとも私は熱燗でなく、もっぱら冷酒ですが、冷酒でもこういうコップのことがあります。
幻水 屋台には二回くらいしか行ったことがありませんが、ああそうだったと思って…。
満智 「肉厚の屋台のコップ」にリアリティーがあり、熱さが伝わってきます。
          *       *       *
 もう四半世紀も前のこと、帰り掛けに駅のそばに出ていたラーメンやおでんの屋台で、一杯ひっかけて帰ったことが懐かしい。水を汲み置きしたバケツにコップを突っ込み、ざぶざふっと洗うのを見て「綺麗じゃねえな。だけどアルコール消毒するからいいか」など、奇妙に己を納得させたりして…。
(光 21.12.10.)

この記事へのコメント