知っている花の名少し大花野 嵐田 双歩
『合評会から』(酔吟会)
三薬 私なんかもほとんど知りません。教えてもらってもすぐ忘れてしまう。気分良く歩ければ、それで十分。
てる夫 そうだねえ、と誰もが思う一句です。
水牛 秋草は地味で、名前のわからないものばかり。でも、それぞれ可憐な花を咲かせている。それを一つ一つ見ながら歩く。いつまでたっても向こう端に行き着かないと連れに急かされる。
水兎 本当に、いつもそう思います。大澤さんに教えられて、少しずつ花の名を覚えましたが、まだまだ教わらなければと思います。
ゆり たまにバラとカーネーションの区別もつかない方がいらっしゃいますが、そもそも見ていないんですよね、花を。
* * *
この句を採らなかった理由がわかった。あまりにも図星だったからである。人は己の弱点を指摘されるとそこから逃避したくなる。それくらい花の名を知らない。とくに、ゆりさんの評は耳に痛い。さすがにバラとカーネーションの区別はつくが、「見ていないんですよね、花を」はぐさっと刺さる。最近、マリーゴールドがわかるようになって連れ合いに褒められた。これはひとえに“あいみょん“のおかげである。
この句には「ハナノ」の音が二つある。心地よいリフレイン、隠し味である。
(可 21.10.04.)
この記事へのコメント