物忘れしない日はなし夏深む   和泉田 守

物忘れしない日はなし夏深む   和泉田 守

『合評会から』(日経俳句会)

明古 今日も物忘れをしたと思いながら、深まる夏の万緑を背に立っている、タフそうな作者。
迷哲 酷暑の夏は、年寄にとって体の衰えを実感させられる季節でもあります。「夏深む」の季語が利いており、晩夏に潜む秋の気配が寂寥感を深くします。
青水 身に詰まされる日々です。頑張りましょう、ご同輩!
十三妹 現実を直視したくないとは思えども…です。
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 我が家は夫婦してまさにこの通りで、選句表にこの句を見つけて、同志を得た気分になって真っ先に採った。他に上記四人が採ったのだが、皆さん程度の差はあるものの同じようなご様子だ。
 作者は「自句自解」で「今さっきメガネを置いた場所や考えていた事が全く頭から飛んでしまう、いわゆる短期記憶の低下というやつですね。もうこれが日常と思って、メモをこまめにとったり忘れないうちに直ぐやったり、あるいは忘れたら忘れたでいいやと居直っているうちに、あまり腹も立たなくなったような気がしています」とおっしゃる。素晴らしい心がけだし、そう出来ているうちは全く心配は無い。むしろ嫌な事やつまらない事をどんどん忘れてしまえる、“健康的物忘れ”段階である。
(水 21.08.26.)

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