なめらかな母の頬なり雨の通夜 斉山 満智
『合評会から』(番町喜楽会)
幻水 これは無季の句ですよね。どうしようかと思いましたが、雰囲気があって感じ入りました。
而云 美しいほどの「死に顔」が見えてくる。「梅雨の通夜」をあえて「雨の通夜」としたのだろうか。
青水 無季の句ですね。僕はあえて「雨の通夜」としたのだと思います。近親者を送る辛さ。上五・中七に感情を集約し、下五でさらっとまとめた、気品ある句だと思います。
百子 「朝一番の飛行機で高知に帰ります。母が急に亡くなりました」と作者からラインで連絡を受けました。その後「母の頬を触ったら冷たくてすべすべしていました。まだ受け入れられません」と。悲しみが伝わってきます。「梅雨」としないで「雨」としたのは、悲しみの深さによるのでしょう。
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有季定型を当然とする考え方からすれば、このような無季の句に戸惑いを覚えるかもしれない。しかし、肉親の死は、そのような約束事を超えたところにある。作者は同時に「向日葵やあっけらかんと死を孕み」という投句もしてきた。整理したくてもできない、複雑な心境がうかがえる。ご冥福のほどを。
(光 21.07.19.)
この記事へのコメント
水馬
そうですか、あのお母さんが亡くなられたのですね。知りませんでした。お辛いでしょうが・・・。がんばれ!