夏シャツやコロナワクチン打ち終える 髙石昌魚

夏シャツやコロナワクチン打ち終える 髙石昌魚

『この一句』

 新型コロナ対策の決め手といわれるワクチン接種が全国で進んでいる。7月中には65歳以上の大半が2回目を打ち終えるという。さらに職域接種などで若い人への接種も始まった。オリンピックを成功させその勢いで総選挙を、と目論む菅政権の思惑はさておいて、感染しにくい、罹患しても重症化しにくいといわれるワクチン接種は、高齢者にとってはありがたい。
 作者は高齢の医療従事者なので、接種の優先順位は高いと思われる。掲句を投句した6月初めには2回目も打ち終わったようだ。事実を淡々と述べているだけだが、明らかに安堵感が滲み出ている。やれやれ、とりあえず一安心、というわけだ。
 季語「夏シャツ」は開襟シャツやアロハシャツの類で、最近ではTシャツも含まれるという。ワクチン接種は肩の辺りの筋肉注射なので、肩を出しやすい服装が推奨されている。袖をまくりやすい半袖シャツを着て、接種会場に出向いたらしい作者。「夏シャツ」に込めた想いが、切れ字「や」によってしみじみ伝わってくる。誠に時宜を得た句材で、この夏の世相を切り取った。
(双 21.07.06.)

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