休業の文字も滲んで迎え梅雨 河村 有弘
『合評会から』(三四郎句会)
賢一 長期休業の店の様子が良く解りますね。もう梅雨入りだよ、という「迎え梅雨」がいい。
雅博 コロナ禍の飲食店の状況が上手に表現されている。
進 休業が閉店にならなければ良いが・・・。
尚弘 コロナ時代の様子がよく表わされています。
照芳 コロナにより国内の不景気。双方が詠みこんでいる。
久敬 飲み屋さんの軒並み休業は本当にさみしいですね。
* * *
「休業の文字も滲んで」。句を見てまず、”中七”の「も」が気になった。酒場か食堂か、コロナ禍に遭った店のご主人が「休業」しかない、と思い切った、というのだが、一軒の状況を表すなら「文字の滲んで」で、よさそうである。やがて思い直した。これは一軒のことではなく、駅前など一つの商業地域を表しているのかも知れない、
「迎え梅雨」も気になった。めったに見ない季語だけに「走り梅雨」の方がいいのではないか、と。しかしやがて句の本質が見えてきた。今年の関東の状況を実によく表しているではないか。やがて、コロナ禍という歴史的な梅雨時を詠んだ秀句、と思えてきた。
(恂 21.07.04.)
この記事へのコメント