福詣よくぞ十人集ひけり     廣田 可升

福詣よくぞ十人集ひけり     廣田 可升

『この一句』
 
 亀戸七福神吟行の一句であるが、長い裏話をしなければならない。この欄をお読みいただいている双牛舎会員以外の読者に対しては、句評する前に説明しておく必要があると思うのである。なんだか思わせぶりな前振りだが、一都三県にコロナ緊急事態宣言が出た翌九日、覚悟を持って七福神吟行を実施したからだ。
この時期にのんびりと吟行をやったのかと、眉をひそめる向きもあろうかと思う。七福神吟行は双牛舎三俳句会の年初恒例行事である。常識では中止も然るべしだが、幹事が奮闘し〝密〟を避け、慰労会を取り止める対策をとって強行した。参加予定者は当然例年の半分以下と予想され、宣言当日朝には「遠慮なくキャンセルをお願いします」と念押しメールが幹事から届いた。それだから参加はせいぜい七、八人かと大方が踏んでいた。ところが集合場所の亀戸駅には十人の句友が集まったのだ。
この句は平時の吟行句であれば見逃されそうな一句かもしれない。だが中七「よくぞ十人」の意味は、幹事役の心中であり深く大きい。「七福神息子の肩借りスタートす 冷峰」の句も出たように、参加者にはある種の覚悟があったのに違いない。令和三年、コロナに負けずに年中行事を開催できた。この句の作者こそコロナ吟行幹事その人である。
(葉 21.01.20.)
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【お知らせ】本日からしばらくの間、亀戸七福神参加者10人の吟行句を連続掲載いたします。

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