冬ざくら二つ違いの姉のこと   横井 定利

冬ざくら二つ違いの姉のこと   横井 定利

『合評会から』(日経俳句会)

可升 ご健在なのか亡くなったのか、いずれにしろ蒲柳の質のお姉さん。「冬桜」に合っている。
双歩 二物衝撃の句。「冬桜」に合っているかどうか。
水牛 遠くに住んでいるお姉さんでしょうか。「冬桜」には合っているよね。
明生 「冬桜」は一人暮らしの姉の寂しさを表していると同時に妹の心情であると思いました。
阿猿 薄明かりのような冬桜を見て、会えないお姉さんを思う切なさが伝わってきます。
弥生 いつも気にかけてくれる姉が、冬桜の季節には一層気になる。儚さも秘める季語が効果的。
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 冬桜は冬季に花を咲かせる桜。水牛歳時記によれば「ヤマザクラやオオシマザクラの雑種で、春のソメイヨシノに比べ、木も花も小さく、ほとんど白に近い淡紅色」である。花は地味で寂しげだが、冬枯れの中に見つけると、その清楚さや寒さに負けず咲く健気さが胸に迫ってくる。
 掲句は冬桜のイメージに姉を重ねている。「二つ違い」の措辞から、歳が近く仲が良かったのだろうと推測される。さらに「姉のこと」で止めた下五によって余白が生まれ、その姉の性格や境遇にまで読者の想像が広がっている。芭蕉に「さまざまのこと思ひだす桜かな」の句がある。桜は咲くにつけ散るにつけ、見る人の追憶を誘う。まして冬桜は、その追憶に切なさが加わるようだ。
(迷 21.01.18.)

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