買置きし書籍ながめつ日向ぼこ 和泉田 守
『季のことば』
近頃「日向ぼこ」という言葉を聞かなくなった。昔は年寄りの冬場の楽しみと言えば、日当たりの良い縁側に茶飲み友達とおしゃべりに興じ、あるいは一人で碁盤とにらめっこしたり、詰将棋をしたりすることだった。もちろん、昼寝も大いなる楽しみだ。一方、子どもたちは南向きの崖下の空地に集まって、押しくらまんじゅうや馬跳び、石蹴り遊びに興じ、くたびれると石垣の温もりに背中を当てて、日向ぼこをするのだった。
作者は読書家だから、もちろん日向ぼこしながら本を読む。そのための買い置き・つんどく本は沢山ある。未読の本がいっぱいあるのに、「これを正月休みに読もう」などと買い込むものだから、家中が本だらけになってしまう。夏休み用に買った本がそのままになっているし、去年の正月に読み掛けたままの本すらあるのが目についた。
「これをみんな読むのは大変だなあ、読み続けて何日かかるかな」などと、出来もしないことを考えているうちにうとうとしてきた。この気分がまたなんとも心地よい。同じコロナ籠もりでも、こういう巣篭もりなら悪くない。
(水 21.01.13.)
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