めりはりのなき晩年や柿を剝く  玉田春陽子

めりはりのなき晩年や柿を剝く  玉田春陽子

『合評会から』(番町喜楽会)

可升 「柿を剝く」の下五がいいですねぇ。人生の何気ない日常が垣間見えます。
光迷 自分を振り返り「めりはり」のない晩年だなぁと思うことしきりです。かつて「短日や余生まことに長長し」という句を作った覚えもあり、心から共感して一票を投じました。
斗詩子 いつ起きてもいつ寝ても、何時に食事をしようと自由気儘。心して生活しないとだらだらと過ごしてしまいます。で、毎度「反省反省…」と自分に言い聞かせていますが…。
水牛 (原句の)「メリハリ」はひらがなにしてほしいなぁ。漢字では「減り張り」で、邦楽や歌舞伎の世界から出た古くからの言葉なんですよ。
春陽子(作者) はい。「メリハリ」でなくて「めりはり」にします。
    *      *      *
 「人生百年時代」などといわれている。長寿自体は結構なことだが、ただ長く生きればいいわけではあるまい。政界や財界の我が身をわきまえぬ老人跋扈ぶりを見ると、その想いは一層強くなる。日本の「失われた20年」あるいは「30年」の原因もそこにあるのではないか。長寿社会の光と影についても考えさせられる句である。
(光 20.12.02.)

この記事へのコメント