初冬の手櫛にからむ白髪かな   徳永 木葉

初冬の手櫛にからむ白髪かな   徳永 木葉

『合評会から』(酔吟会)

てる夫 自分自身は櫛をあまり使わないので、よくわからないのですが、老いの情景を「初冬」にからめてうまく詠んだと思います。
百子 最近は私も抜け毛、白髪が多くなってきました。まさしく私のことだなあと実感して読みました。
双歩 私も手櫛をやるとこんな思いになることがあります。最初にこの句を選んだのは私ですが、その後ばたばたと点数が入り、まさか四点句になるとは思いませんでした(笑)。
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 なかなか信用してもらえないのだが、筆者は若い頃は行きつけの理髪店のオヤジに「床屋泣かせだよ」と言われるほどのボサボサ髪で、「手櫛」が癖になっていた。40代になるや白髪が増え始めると同時にバラバラ抜け始めた。そんな昔を思い出して、「そういえば初冬になると抜け毛が多くなったもんだなあ」などと頭を叩きながら懐かしみ、この句を採った。作者が解って、その年になってまだ手櫛を掻くとは「化け物だよ」と毒舌を吐いた。
冗談はさておき、この句はなんと言ってもしみじみとした感じが伝わってきて、「初冬」の季語と非常にうまく呼応している。女性の句だと思っていたのだが、老齢男性も思いは同じであろう。
(水 20.12.01.)

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