目鼻口つけて南瓜の大笑ひ    髙石 昌魚

目鼻口つけて南瓜の大笑ひ    髙石 昌魚

『この一句』

 句を読んだとたんに、オレンジ色のハロウィーンの南瓜の顔が浮かんだ。欧米では10月末のハロウィーンには、南瓜をくり抜き中にロウソクを灯して玄関に飾る。本来は悪霊を追い払う魔除けのランタンというが、お化けが大笑いしているように見える。目鼻口を付けたら南瓜が人格を持ち、笑い出したと想像できる愉快な句だ。
 南瓜はどこか愛嬌のある野菜だ。放っておいても育ち、畑にごろごろ転がって実が生る。デコボコした丸い顔立ちで台所や納屋の隅に鎮座している。戦国期にポルトガルから伝来したといわれ、荒地でも実り、保存が利く上に栄養価も高い。江戸時代や戦後の食料難の時など、庶民の食卓を助けてきた。見た目は地味だが、甘くほくほくした実は、煮ても揚げても美味しく、スープやケーキにしても味わい深い。
 そんな南瓜が祭りの主役となるハロウィーン。今や仮装イベントと化した日本では、実物はもちろん、南瓜のレプリカやシールが街中に溢れる。今年はコロナ騒動で例年のような混雑は回避されたが、代わりに仮想空間でのハロウィーンが盛り上がった。商業主義に踊らされる晩秋の狂騒を、南瓜は笑い飛ばしているのであろう。
(迷 20.11.09.)

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