無言館訪ふ人のなく秋の声    高井 百子

無言館訪ふ人のなく秋の声    高井 百子

『合評会から』(日経俳句会)

鷹洋 かつて吟行で訪れた無言館の今日を寂し気に伝えています。無言という雄弁で平和の大切さを訴えている。
睦子 外出自粛を決めている夜、Eテレ・日曜美術館「語り続ける戦没画学生」で作品集を見ました。作品の劣化、作者の思いなどなど。熱帯夜に秋の気配を感じました。
昌魚 無言館には伺ったことがありますので、人が少ないのは寂しいことです。
正市 敗戦忌前後の参拝の列が一巡した、あの打ち放しコンクリートの空間。上田の山から秋の声が聞こえる。
          *       *       *
 令和2年秋の上田・無言館を詠んだ。作者は地元塩田平に住み、訪れる人を案内してこの美術館にもう何十回足を運んだのだろうか。「今年は(コロナ禍で)客足がさらに遠のいて、寂しい限りです」と言う。あの丘の雑木林が秋風にそよぎ、無人の無言館のほとりに佇めば、聞こえて来る「秋の声」はまさに「鬼哭啾々」であろう。
(水 20.09.07.)

この記事へのコメント