夏山の銀河に抱かれ眠りけり   後藤 尚弘

夏山の銀河に抱かれ眠りけり   後藤 尚弘

『合評会から』(三四郎句会)

圭子 真夏の夜、満天の星空に包まれ、大いなる何かに安心して眠れるような自然の神秘が感じられます。
而云 銀河の大きさが感じられます。山小屋泊まりの一句か。
諭  「夏の山」と「銀河」の織りなす壮大な句に圧倒されました。
久敬 数年前、野辺山天文台を見学に行ったときの夜景を思い出しました。
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 「夏山と銀河ではなあ」と、一瞥そっぽを向いたのだが、何か気になって読み直した。そうだ、こういう感激シーンを味わったことがあるではないかと、思い出したのだ。もう40年も前のことだが、オーストラリア内陸沙漠に忽然と聳える巨岩エアーズロックの麓で野営した時の星空である。空にはこんなに沢山の星があったのかと呆気にとられた。夜空びっしりと金銀砂子を蒔いたように星が散りばめられている。それが大きなお椀をかぶせたように地平線まで続いているのだ。気が遠くなった。
 作者によれば大学時代ゼミ仲間と八ヶ岳を縦走した時山小屋に泊まり満天隙間なく輝く星に感激した思い出の句だという。こういう光景の前では、「夏山」という夏の季語と「銀河」という秋の季語が重なって云々・・などという小賢しい一言は吹き飛んでしまう。大らかな句である。
(水 20.08.19.)

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