焼茄子の熱々の皮むしりをり  山口 斗詩子

焼茄子の熱々の皮むしりをり  山口 斗詩子

『この一句』

 茄子は漬物も良し、煮ても焼いても揚げても、どんな味付けをしても食べられる。しかし、茄子の仄かな旨味が最もよく味わえるのは、焼茄子ではなかろうか。
 ただ焼茄子はこの句が言うように「熱々の皮をむしる」のが一苦労だ。焼き加減も大事だが、これはガスの直火でも魚焼レンジでも、あるいは油を引かないフライパンでもいいから、皮が真っ黒になるまで焦がし、果肉が十分柔らかくなるのを見計らって、すぐさまヘタに近い方の皮を摘まんで剥いてゆく。もの凄く熱いから、水を掛けながら剥く人がいるが、これは厳禁。旨味が全部逃げてしまう。傍らに氷水を置いて、時々指を浸して熱い焦げ皮を剥く。剥き終えたらバットに並べ、それを氷を盛った大きなバットに置いて冷やす。冷えたら卸し生姜をちょっぴり載せ、出汁で割った醤油をかければ出来上がり。
 焼茄子の熱い皮を剥くのが面倒だというのなら、焼いたばかりの真っ黒焦げをそのまま皿に載せ、ナイフで裂け目を入れ、そこにバターを落とし込み、卸しニンニクを混ぜた醤油をたらたらと掛けて、スプーンで果汁ごと掬って熱々をフーフー啜り込む。ビールにも合うし、冷やした吟醸酒なら絶好の相性である。
 焼茄子の作り方に身が入り過ぎて句評を忘れてしまった。この作者の焼茄子はさぞや美味かろうという感じが伝わって来る、実に良い句だ。
(水 20.07.05.)

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