うすものを羽織りし母の細きかな 深瀬久敬
『合評会から』(三四郎句会)
諭 老年の母親をさりげなく詠んで、母親への愛情をしっかりと伝えている。
有弘 亡き母と自らの老いをしんみりと感じさせる句、と言えばいいかな。
圭子 高齢のお母様をいたわるような気持ちが伝わってきます。
而云 「羽織し」と過去形だから、母上は亡くなっているのだろう。
賢一 母への感謝の気持ちを間接的に表している。私もこんな風に詠んでみたい。
久敬 (作者) 母は晩年、我が家のごく近くに住んでいたのですが、もう少しこまめに訪ねておけばよかったと悔いています。
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「痩せている」「細い」などは女性への誉め言葉らしいが、相手が自分の母親となると様子が違ってくる。いつもは母の老いを思うことが少なかったのだ。羅(うすもの)を着た母の痩せ具合を見て「ああ、これほどまでに」と気付いたのである。「いたわるような気持ち」「母親への愛情をしっかりと伝えている」「私も(亡き母親を)こんな風に詠んでみたい」――。それぞれのコメントは、とても真面目で的確、と評したい。
(恂 20.06.09.)
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