朧月好きな映画をまた観てる   杉山 三薬

朧月好きな映画をまた観てる   杉山 三薬

『この一句』

 『オズの魔法使い』、『男はつらいよフーテンの寅』、『JFK』、『時をかける少女』——四月のとある土曜日、地上波やBSで放送された映画だ。いずれも名画ばかり。それぞれのタイトルに誰しもが思い出があるのではないか。
 例えば『オズの魔法使い』。筆者は幼い頃、親に連れられて(多分リバイバル上映を)観に行ったものの、ブリキのおじさん(失礼)が怖くて泣き出し、一緒に居た兄弟を困らせた記憶がある。そのくせ、ジュディ・ガーランドという名前は今だにすぐに出てくるのが不思議だが。自分が観た印象深い映画には、タイトルを聞いただけで一瞬にして当時の世界に浸れる魔力がある。
 作者もまた似たような気持ちなのだろう。このところの“ステイホーム”要請で、無聊をかこっている身には名画の再放送はとてもありがたい。粗筋は覚えているが、何度観ても細かい描写は結構忘れているもので、観る度に新鮮だ。下戸の作者は晩酌なんかしないから、朧月のかかるころも当然素面。途中で居眠りなんかはしない。好きな映画をまた観て満足。心地良い眠りにつくのであった。
(双 20.05.10.)

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