撥ねて散る洗車の水の春もよう  岡田 鷹洋

撥ねて散る洗車の水の春もよう  岡田 鷹洋

『合評会から』(酔吟会)

涸魚 水のしぶきの中にきらめく春の光が目に見えるよう。
道子 春らしく軽やかに水が跳ねる風景が見え躍動感がある。
睦子 汚れを流した水が陽を浴びて光る、気持ち良くきれいな句。
春陽子 撥ね散る水を「春もよう」と捉えたところが素晴らしい。
       *     *     *
 この日の句会はコロナウイルスのせいでメール句会となった。当然、句評もメールで送信されたわけだが、悔しいのであえて「合評会」が開催されたような体裁にしてみた。
 作者によれば、散歩の途中で“おっさん”が腕まくりをして、せっせと愛車を洗っているのに出合ったとのこと。暖かな陽気で撥ねる水さえ嬉しそうに見え、作者自身も春が来たことを実感したという。
 句に表現されたものは、水を「春もよう」と捉えたことで、春の到来に浮かれた気分というよりは、もっと繊細な喜びをあらわしているようにみえる。少し沈んだ世相だからこそ、こういう明るい句に救われる気がする。
(可 20.04.01.)

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