来て逃げて雀の群れの日永かな  堤 てる夫

来て逃げて雀の群れの日永かな  堤 てる夫

『合評会から』(日経俳句会)

二堂 私の家にも雀がよく来ます。群れで来ては逃げる。それを上手く詠んでくれている。
昌魚 動画のように景が動いていくのが分かるいい句です。
博明 確かに雀は団体で来ては、さっと逃げて、またしばらくして団体でやってくる。いったい何しているんだと思うし、それを眺めてるいる作者も「日永」。
ヲブラダ 拙宅は十五階なのですが、ベランダに雀が来ます。警戒心が強く、正にこんな感じです。鳩ならこういう気分にはなりませんね。
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 田園地帯に住まうようになって六、七年たつ作者は今や雀とも友達である。毎朝、庭に玄米を撒いてやるのだそうだ。その内に雀のお宿に招かれて宝物の一杯詰まったつづらを貰ってくるのではないか。
 雀は人間のすぐそばに暮らしているくせに警戒心が非常に強い。まず物見雀が来て、大丈夫だと見極めると仲間を呼ぶ。一寸でも危険を感じると逃げろの合図を発して、一斉にぱっと飛び立つ。とにかく、作者は雀の生態をよく見ている。
(水 20.03.15.)

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