ギャー泣きの妹を背に鬼に豆   須藤 光迷

ギャー泣きの妹を背に鬼に豆   須藤 光迷

『この一句』

 一読、吹き出してしまった。鬼を見て「ギャーギャー」泣きわめいている幼い妹をおんぶした姉が、果敢に鬼と対峙してる情景が浮かんだからだ。何とも微笑ましい句だと思った。ただ、昔と違って、現代俳句は卑俗な言葉遣いを嫌う傾向があるので「ギャー泣き」はいかがなものかと、ちょっと採るのをためらった。結局、俳諧味があって面白いからと選んだが、賛同する人はいないような気がした。ところが、句会では「叙述が楽しい」(水兎)や「下卑た物言いは嫌いなのだが、この場合はかえって効果的で面白い」(水牛)などと好評だった。
 ネット情報によると、乳児が激しく泣きわめくことを「ギャン泣き」というらしい。小児科医による「ギャン泣きの対処方」などというのもある。つまり「ギャン泣き」が一般的のようだが、「ギャー泣き」は作者の造語かもしれない。
 作者によると、兄が鬼の着ぐるみを纏い姉妹に襲いかかるという本格的な節分だそうだ。単なるお面だけの鬼とは違い、そりゃあ幼い妹は驚いて大泣きしそうだ。ともあれ、「ギャー泣き」を詠んだ句は他に例があるとは思えず、とてもユニークでユーモラスな一句だ。
(双 20.02.03.)

この記事へのコメント

  • 須藤光迷

    ごめんなさい。説明不足でした。鬼に扮するのは「兄」でなく「父」です。つまり、頼りになるパパは勤めのため不在、そこへ怖い鬼が…という次第。この家族演劇?、何歳まで通用するでしょうか。小学生になってから「ちょっとおかしい」と思っている風はありますが。
    2020年02月04日 16:38