街路樹の細き枝先月冴ゆる 久保田 操
『合評会から』(日経俳句会)
てる夫 「月冴ゆる」という季語に実によく合った情景。
三代 葉っぱを落とした街路樹の細い枝先だけでも冴え渡る感じ。その先に月があるという。情景が浮かぶようだ。
昌魚 中七の「細き枝先」がいい。いつぞやの満月も綺麗に見えたなあと。
守 今年は異常な暖冬で、私にはまだこのような夜はありませんが・・。
雅史 葉を落とした枝越しというのは趣があります。
正市 「細き枝先」とまで言い切ったのが効果的。
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蕪村の高弟高井几董に「冬木立月骨髄に入る夜かな」という名句がある。自分でも気に入った句らしく、連句の手引書の中で、「月の光も骨身にしむやうな夜ぢやといふを、月も骨髄に透るばかりかなと作ったものぢや」(『付合手引蔓』)と述べている。掲句は同じ雰囲気を詠んでいるが、あっさりと表現しているところが好感が持てて、却っていいように思う。句会でも好評を博した。
(水 20.01.31.)
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