獅子舞に暫し華やぐ下駄屋前   玉田春陽子

獅子舞に暫し華やぐ下駄屋前   玉田春陽子

『合評会から』(東海七福神吟行)

可升 一心寺の門前で偶然獅子舞に出会いました。あの時の情景を素直に詠んで過不足なく、好感が持てます。「下駄屋前」の下五がきいています。
幻水 旧東海道の珍しくまだ残っている下駄屋の前で獅子舞が行われ、街が暫し華やいだ。
白山 久しぶりに本格的な獅子舞。老舗の下駄屋の心意気を見ました。
命水 獅子舞がいるだけで雰囲気が盛り上がります。
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 かつての正月をしみじみ思い出させる光景である。それは、この句を採った四人が口を揃える、獅子舞と下駄屋という舞台装置のもたらす効果にほかならない。この獅子舞は、二人立てで、お囃子部隊が付属した立派なものだった。
 それにしても、日本の正月はどこに行ってしまったのだろう。初詣の寺社は混み合っているものの、賽銭を上げるよりスマホでの自撮りに熱中したりして。独楽も羽根突きも凧揚げも見られなくなった。それがグローバリズムのせいなら、そんなものは要らない。掃き捨ててしまいたい。
(光 20.01.27.)

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