台風で壊れし家に松飾      竹居 照芳

台風で壊れし家に松飾      竹居 照芳

『合評会から』(三四郎句会)

雅博 これは昨年の災害に見舞われた家でしょう。
進  被害の跡片付けはそのまま。家は倒れたままなのだ。
久敬 台風禍そのままの家に松飾。こういうところに日本人の心情が感じられる。
照芳(作者)千葉県は台風禍に水害も酷く、本当に大変だったらしい。そんな状況をテレビで見続けているので・・・。
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 一月半ばの句会に投句された作品。句を見たときは「松飾」に時期遅れを感じたが、合評会の言葉を聞いて「そうだったのか」と了解した。家は台風禍によって、倒壊したままだった。家族は無事だったにしても、その家にはもちろん住めない。暮も押し詰まった頃、仮の住居に住む家族が家の跡にやって来て、壊れた家の玄関辺りに松飾を置いて行ったのだ。
 松過の頃になっても、松飾は残っていた。近隣の人々は松飾を見ながら通り過ぎ、
「たいへんだなぁ」とかつての隣人の生活を思いやる。潰れた家はいつまでこのままにしておくのか。あの人たちは、もうここに戻ってこないのか。自然災害に心を痛める心は、国民共通のものと言っていい。
(恂 20.01.23.)

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