神の旅富士越え伊勢越え熊野越え 石丸 雅博

神の旅富士越え伊勢越え熊野越え    石丸 雅博

『おかめはちもく』

 陰暦の十月(陽暦の十一月)、日本中に住む八百万(やおよろず)の神々が出雲大社に集まり、何事かを相談するという。各地の神様はそのために本拠地から出雲への旅に出発していく。それが俳句では冬の季語の「神の旅」。この句は東方に住む神様のコースを詠んでいる。
 まず富士山、そして伊勢から熊野へ。どの地も神様にゆかりの深い地であり、「越え」を三つ重ねた詠み方もそれなりの効果を見せている。しかし神の進む方角が頷けない。富士越え、伊勢越えまではいいが、次がどうか。熊野越えは明かに方向違いであり、伊勢からは北西に進路を取らなければならない。
 ならばその目印は? 日本地図を広げたら、いいコースがあった。伊勢から北西に進路を取り、琵琶湖を超えて行けばいい。日本一と言えば、山は富士、湖は琵琶湖である。句は「神の旅富士越え伊勢越え琵琶湖越え」としたい。東方の神様に相応しい旅のコースになるだろう。
(恂 19.12.05.)

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