薄目開け犬のまた寝て今朝の冬  嵐田 双歩

薄目開け犬のまた寝て今朝の冬  嵐田 双歩

『おかめはちもく』

 初冬の朝、庭先で丸くなっている犬の様子を詠む。日差しを感じたのか、小鳥の声を聞いたのか、薄目を開けて様子をうかがい、また目を閉じて眠りに入ってしまった。外界に敏感な子犬ではなく、多少のことに動じない老犬のイメージが湧いてくる。
誰もが見たことのありそうな光景だが、それを上手に句に仕立てた作者の観察眼に感心する。ちょっとぐーたらな犬の姿と、寝床から離れ難くなる冬の朝の気分に共感した人が多く、句会でも高点を得た。
 ただ合評会では「犬のまた寝て」の語調が落ち着かないとの指摘があった。作者は薄目を開けた主語を早く示したくて、この語順にしたと推察されるが、結果的に犬が埋没する格好となっている。「薄目開けまた寝る犬や今朝の冬」との案も示された。確かに語調が良くなり、主役の犬と季語が近接して、初冬の庭先の光景がくっきりと浮かび上がってくる。
(迷 19.11.05.)

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