奈良に嫁し今年もつくる柿のジャム 大下綾子

奈良に嫁し今年もつくる柿のジャム 大下綾子

『季のことば』

 「ジャム」という、季語にあってもいいような言葉だが、ない。梅、林檎、苺、梨、葡萄、柿となんでもジャムになり、手作りならそれぞれ季節感もある。柿ジャムは砂糖を控えても実に甘く美味そうだ。
 作者は「柿」の兼題にジャムを持ってきた。奈良といえば名高い御所柿の産地でもある。ましてや、子規の「柿食えば…」を思わずにはいられない。雰囲気十分の句になった。
 ところがわれらが句会は、東京近辺在住の方々ばかりだから、「奈良に嫁し」というフレーズにこだわりがある人がいた。そんな人句会にいないよな、と言えばその通りなのだが、柿好きの筆者は「柿のジャム」に食指が動いて選んだ。
 この句の主人公は作者自身ではなく、作者の友人らしいと後で分かった。世になりすましの句というのがある。男が女のふりをする類で、あとで分かって顰蹙を買う場面もあるが、この句など何の問題もないだろう。
(葉 19.10.28.)

この記事へのコメント

  • 取り上げていただき、ありがとうございます。なりすましなどという気はなく、同級生のことです。

    2019年11月08日 08:58
  • 綾子

    取り上げていただき、ありがとうございます。
    同級生のことです。なりすましなどという気はなく、彼女の立場になりて詠める、です。立ち位置を変えると、違う景が見えてきます。
    2019年11月08日 09:00