菊人形大坂なおみの高島田    中沢 豆乳

菊人形大坂なおみの高島田    中沢 豆乳

『この一句』

 最初は「ほんとかな?」と思ったが、花嫁衣裳の大坂なおみを想像して思わず笑い、ほっこりした気分になった。いつも目にするパワフルなテニスウエア姿と、文金高島田の花嫁姿とのギャップにおかしみを感じ、それが菊人形という伝統的な日本文化で表現されていることに嬉しい気持ちになったのであろう。
 菊人形展は全国の公園、遊園地で盛んに開かれていたが、レジャーの多様化で近年は減っている。福島県二本松市と福井県越前市のものが有名で、作者も実家のある二本松で大阪なおみを目にしたという。
 実際のなおみ人形は振袖姿でテニスラケットを持っており、「高島田の部分はちょっと脚色した」とのこと。高島田という純日本的なものを取り合わせることで、大坂選手が日本国籍を選択し、東京五輪に日本代表として出場する決断をしたというニュースが想起される。いわば巧まざる時事句であり、この句に最高点を与えた日経俳句会のニューズセンスもさすがと言える。
(迷 19.10.27.)

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