仰向けの蝉のみつめる虚空かな  深瀬 久敬

仰向けの蝉のみつめる虚空かな  深瀬 久敬

『合評会から』(三四郎句会)

照芳 死んだ蝉、みんなひっくり返っている。そんなこと考えながらこの句を選びました。
有弘 無常感が出ていますが、ちょっとやり過ぎかな。
而云 私もそんなことを思ったが、蝉は確かにいろんなことを感じさせます。
久敬(作者) 死んでいると思ったら、生きていてパッと飛んでいくのもいますよ。
       *       *       *
 バス停から家に帰る途中に横切る小公園でよく蝉の遺骸を見つける。たしかにみんな仰向けになっていた。彼らは空中を飛び、木の枝にとまりながら生きていた。死んだ後、かつての活躍の場を眺めようと、上を向いているのだろうか。
 作者の「死んでいると思ったら、生きていてパッと飛んでいくのもいる」というコメントが面白い。確かにそんな場面を見た記憶があり、その時は「元気のいい奴だ」と思った。しかし飛んで行った蝉はすぐに死んでしまうはずである。そしてどの蝉も「虚空」を見つめているのだ。
(恂 19.10.11.)

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