納骨を済ませし座敷秋の声    中村 迷哲

納骨を済ませし座敷秋の声    中村 迷哲

『合評会から』(日経俳句会)

好夫 納骨を済ませて家に帰ってきて、ほっとした情景がよく出ている。
ゆり 知り合いが年末にお母さんを亡くした。ゴールデンウイークに会った時、まだ納骨をしていないのと話したのを思い出しました。
百子 ほっとしたのでしょう。そんな時に秋の風が吹いてきた。作者には故人の声が聞こえたのではないでしょうか。
       *       *       *
 死者は七日目に三途の川を渡って彼の世の入口あたりをさ迷い、以後七日ごとに閻魔の庁の取り調べを受け、四十九日目に彼の世で住むべき場所が決められる。どうぞ故人を極楽浄土に住まわせて下さいと、親族や縁者一同法要を行い、尊いお経を上げて仏様に祈る。そして、遺骨を墓石の下や納骨堂に安置して「忌明け」。これが今日の“葬式仏教”の一般的な流れである。
 作者は故人の家を、葬儀後何ヶ月かたってまた弔問した。納骨を済ませた座敷は、骨壺を中心に飾られていた祭壇が片付けられ、すっかり広くなってさやさやと秋の風が吹き通っていた。寂しいような、きっぱりとしたような気持になる。
(水 19.10.07.)

この記事へのコメント

  • 迷哲

    敬愛する先輩が6月に亡くなり、9月に再訪した時の印象を詠んだ句です。取り上げて頂きありがとうございます。すっかり片付いた座敷の広さに、ひと区切りついたとの思いを深くしました。
    2019年10月08日 09:28