秋雲へ浅間のけぶり紛れゆく   河村 有弘

秋雲へ浅間のけぶり紛れゆく   河村 有弘

『合評会から』(三四郎句会)

久敬 浅間山の噴火の煙と秋の雲。その対比ぶりが面白い。
照芳 兼題「秋の雲」は難しかったが、この句は浅間山の煙を配して、なるほど、と思わせる。
正義 山の煙と秋の雲。いい風景だが、やや歌謡曲調かな。「けぶり」がいいね。
賢一 浅間山の噴煙と秋の雲を上手く料理している。
而云 季語より浅間の煙の方が主役かな。もちろん、こういう詠み方もあるが。
     *         *         *
 長野新幹線で高崎を過ぎてほどなく、右手に浅間山が現れる。まことに大きい山だ。しばらく眺めていて「そうか、もう信州に入っているのだ」と気付く。東海道新幹線で関西へ行くときはいつも「富士山、見えるかな」と思うが、浅間の場合は必ず見える。それだけ近いところを通っているのだろう。
 噴煙の見える時もある。横に棚引くこともあるが、この句の場合はもくもくと真上に昇って行ったのだ。やがて噴煙は秋雲に紛れていったという。季語の秋雲より噴煙の方が句の主役になっている、と思ったが、そうではなかった。雲に紛れたあたりから、噴煙は秋の雲になって行ったのである。
(恂 19.10.01.)

この記事へのコメント

  • 水牛

    浅間のけぶりが立ち昇り、やがて秋雲の一要素となっていく、という恂氏のコメントを読んで、なるほどなあと、この句の良さに気付きました。この秋雲は鱗雲、鰯雲といった高空の雲ではなく、綿菓子のような形で秋空に浮かんでいる積雲でしょうかね。ノンちゃんが乗っかっているような。
    2019年10月01日 18:42